女子プロレス「スターダム」のIWGP女子王座戦(27日、横浜アリーナ)は王者・岩谷麻優(32)が、朱里(36)に敗れ王座から陥落した。
2023年4月23日の横浜アリーナ大会でメルセデス・モネを破り同王座を初戴冠。約2年間で9度の防衛を成功させてきた岩谷は、メガビッグマッチでV3戦(24年1月4日、TDCホール)で撃破した朱里を迎え撃つ。
試合が始まると、朱里の強烈な蹴りに苦戦を強いられなかなかペースをつかめずにいたが、15分過ぎ岩谷が朱世界を狙われたところでリバースフランケンシュタイナーで切り返すと覚醒。得意のドドンパで勢いをつけムーンサルトプレスを投下した。
だが、二段式ドラゴンスープレックスを回避されるとワキ固めで締め上げられ悶絶。旋回式流炎(変型エメラルド・フロウジョン)を決められた上に複合関節技で執拗に攻められピンチを迎えた。
それでもロープに足を伸ばし難を逃れると、ムーンサルトプレスを再び発射。さらに二段式ドラゴンスープレックスを決めたが、カウント2で肩を上げられ困惑した表情を見せた。
20分過ぎから朱里から意地の頭突きをくらうと意識をもうろうとさせた。さらにジャーマンで投げ飛ばされ、側頭部を蹴られるとグロッキー状態に。最後は朱世界からのクロスアーム式朱世界で3カウントを献上した。
試合後、マイクを持った朱里から「岩谷麻優とは今日5度目のシングルでした。岩谷麻優は私にとってプロレス人生のかけがえのない特別な人です。その岩谷麻優からⅠWGPを取ったこの重さ、しっかりと受け止めて私がさらにこのIWGPの価値を高めていきます」と座礼された。
ベルトを失い大号泣した岩谷は「朱里さん、おめでとうございます。すごく悔しい。2年間このIWGPにプロレスラー人生全てをかけて戦ってきました。そのベルトを落としてしまったこれで岩谷麻優…」と口にすると黙り込んでしまった。少し間を置くと「このスターダムのリングが大好きです。けど、そのベルトなくなったから、そのベルトの未来は朱里さんに託します。そのベルト本当に本当に重たいベルトです。岩谷麻優から取ったベルトなんだから、これからも防衛し続けてください。スターダムのアイコン岩谷麻優は新たな道を探します」と意味深な言葉を残した。最後は四方に礼をするとリングを後にした。
オカダ・カズチカの持つIWGP(ヘビー級王座)の最多防衛12回の更新を目標に掲げてきた岩谷だったが、夢半ばでの陥落。バックステージに涙を流しながら現れた岩谷は「IWGPの名のつくものの最多防衛記録をつくるって言ってのになくなった…。ずっとIWGPのベルトを持っていたから、悔しいですね」とつぶやいた。その後もなかなか言葉が出てこず。大粒の涙を流した岩谷は「ああ…悔しいずっとこのベルト…あ、このベルトって言ってももうないんだけど、IWGPのベルトに全てをかけてきたつもり。IWGPのベルトのことだけを考えてやってきたけど、すみません…何も言葉が出ないです」と語り控室へ消えていった。
スターダムのアイコンはどこへ向かうのか…。