女子プロレス「マリーゴールド」に移籍した〝女子プロレス界のアイコン〟こと岩谷麻優(32)が、初陣で高橋奈七永(45)から白星を奪った。

 4月27日のスターダム横浜アリーナ大会で朱里に敗れ2年間保持していたIWGP女子王座から陥落。翌日にスターダムを退団し、今月1日にマリーゴールドへ入団した。黄金の花園での初試合は今月24日の代々木大会で現役を引退する高橋と激突。デビュー当時、入場曲を聞いただけで涙した相手と13年ぶりにシングルで対戦した。

マリーゴールド移籍後、初の試合に臨んだ岩谷麻優
マリーゴールド移籍後、初の試合に臨んだ岩谷麻優

 緊張した面持ちで入場した岩谷は試合が始まると、執拗に右脚を攻められ悶絶。顔面を何度も踏み付けられる屈辱を味わわされた。さらに得意のトペ・スイシーダを狙うとパイプ椅子で殴られ戦意喪失。そのまま南側スタンドにつれていかれるとエルボーで殴り飛ばされ、階段から突き落とされてしまった。

 それでも驚異のゾンビ力を発揮した岩谷は、高橋との張り手合戦を制すると今度こそトペ・スイシーダをお見舞い。さらにミサイルキック、フロッグスプラッシュと畳みかけ徹底的に攻め込んだ。

 だが、試合時間が20分過ぎても両者の勢いは止まらず。冷蔵庫爆弾を決められた岩谷は2カウント目で肩を上げ、高橋もムーンサルトプレスをくらったが3カウントを許さない。その後も接戦が続いたが、最後は岩谷がウラカン・ラナで丸め込み3カウントを奪った。

 試合後、マイクを持った岩谷が「スターダムを辞めて3日後に会見をやって、置いてけぼりにしてしまったファンの皆さんごめんなさい」と目に涙を浮かべながら謝罪し「これからも一緒にいろんな夢を見ていきたい。皆さんこれからもついてきてください」と呼びかけた。

 そして高橋に対し「老害って言ってごめんなさい。あんなこと言っちゃったから今日めちゃくちゃ怖かった。でも今日泣かないであなたの前に立つことができました。岩谷麻優成長しました。奈七永さんの強さを身に染みて感じて、あなたの強さは必ず自分たちの世代が受け継いでいきます」と感謝を述べた。

 岩谷の言葉に涙を流した高橋から「プロレスを長くやって頑張ってきたらまた岩谷とこうやって試合ができて…なんか天使みたいだなお前。正直私が辞めた後のマリーゴールドは大丈夫かなと思ったけど、麻優がマリーゴールドに来てくれてよかったよ! ありがとう。岩谷麻優のプロレス最高だった。クソ!」と抱きしめられた。

 さらにリングに現れたスーパーフライ級王者のビクトリア弓月にマイクを奪われると「私は麻優さんがマリーゴールドに来てくれて本当にうれしかった。麻優さんがスーパーフライを狙っているって話を耳にしたんですけど…ぜひ私の持つスーパーフライのベルトに挑戦してきてください。この1年で大きくなったビクトリア弓月が麻優さんの挑戦受けますよ」と次期挑戦者に逆指名された。かつて同じ「STARS」でかわいがっていた後輩からの逆指名に驚いた表情を浮かべた岩谷は「弓月は成長したのかもしれない。でも岩谷麻優はもっともっと高いところにいるから。チャンピオンベルトその日まで守っておいてね。正々堂々と受けてやりますよ」と受諾。王座戦が決定的になった。

 バックステージで岩谷は入団会見後、応援の声と共に多くの批判を浴びせられたことを明かし涙を流した。「がっかりしたって声が1番多くてすごく悔しかった。でもスターダムを辞めたことに後悔はない。これから自分が入り口になって『(マリーゴールドに)ハマったよ』って言う人が増えるようにしたい。そんでもってマリーゴールドの顔になりたいと思ってるし、みんなの手でマリーゴールドを世界一にしていきたい」と力強く語った。

 女子プロレス界のアイコンがマリーゴールドをけん引する。