女子プロレス「スターダム」の注目の敗者退団マッチ(3日、東京・後楽園ホール)はワールド王座を保持する〝闇に落ちた不死鳥〟こと上谷沙弥(28)が、前王者の中野たむを破り、ラストチャンスの敗者引退マッチを突きつけた。
これまで10度のシングルマッチを行ってきた2人はこの日、退団をかけ時間無制限1本勝負のシングルマッチで激突した。前売り時点でチケットは完売し、当日は立ち見席も販売され1635人の観衆が押し寄せた。超満員札止めとなった会場で20時39分にゴングが鳴ると、2人は数秒にらみ合い殺気を漂わせた。
さっそく序盤、上谷が場外戦をぼっ発させ、H.A.T.E.(ヘイト)のセコンド陣が中野を取り囲んで暴行。完全にペースをつかむと、レフェリーの目を盗み、チェーンで中野の首を絞め、コーナーで吊るし上げた。
20分過ぎ、セコンドと悪の連係を駆使していた上谷だったが、刀羅ナツコのラリアートが誤爆。中野のセコンドにいたなつぽいからプランチャをくらい、ヘイト軍が総倒れとなってしまった。
その間、中野からバイオレットスクリュードライバーからのトワイライトドリームをくらった上谷は、完全ダウンの大ピンチに。それでも仲間のアシストを得て立ち上がると、パイプ椅子で中野を殴り飛ばし、旋回式スタークラッシャーをズバリと決めた。最後はダメ押しのカミゴェ式ビッグブーツで3カウントを奪った。
25分39秒の激闘を制した上谷は、リングを去る中野に向かって「おい、中野たむ…本当にこれで終わりか?」と引き留めた。すると「大たむコール」が巻き起こり、リングに走り戻ってきた中野から「こんなんで納得できるわけねえだろ! お前はこんなんで本当に満足なのかよ?」と張り手をくらった。
この姿に上谷は「惨めだな! お前、本当に退団する気だったの? こんな哀れなヤツ見たことない」と笑い飛ばすと「私はまだやりたりないけどな…じゃあ最後に1つだけチャンスをあげようか? 次は何をかける?」と慈悲の心を見せた。
この言葉で、涙を流す中野から「もうどうなってもいい。全て失ってもいい。アンタを倒すチャンスがもらえるなら全部捧げてもいい。引退をかける」と引き出すと、上谷は大笑いしながら「本当にコイツはおもしれえな。お前が引退をかけるなら、私だって引退をかける。そして赤いベルトも。場所はもちろん4・27横浜アリーナ。泣いても笑ってもこれが最後。負けたら即引退。ラストダンスだ!」と絶叫。4月27日に2年ぶりに行われる横浜アリーナ大会で、両者による敗者引退マッチが決定的になった。