日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない

STANISLAV KOGIKUーSOPA IMAGESーSIPA USAーREUTERS
<ジョージア大使夫人が来日したばかりの頃に語った、ある言葉を再考する>
いま日本が旅行先として海外から熱烈な支持を集めている。
日本のキャラクターグッズを手に入れる人たち。ブランド物のショッピング袋を両手からあふれるほどに抱え、流行の飲食店で行列をなし、渋谷のスクランブル交差点で写真を撮ったり走り回ったりする人たち。あるいは着物を身にまとって浅草寺に行き、富士山を借景にして写真を撮る人たち......。
このように楽しそうな外国人観光客の姿がSNSやメディアなどを通じて世界に発信されている。
しかし、こういった観光地や体験だけが日本の本当の魅力であり、インバウンド需要をこれだけ急成長させているのか。あるいは、よく言われるように円安が、この勢いを支える主要因になっているのだろうか。私は、それは表面的すぎると思っている。
この日本旅行ブームのもう1つ重要な理由は「日本の距離感」だと私は考えている。
私の妻が来日したばかりの頃に「日本は周囲の人が干渉してこなくて気が楽だわ!」と何度も口にしていたことを思い出す。
日本に長く暮らしてきた私は、妻が言っていることが最初はよく理解できなかった。しかし今、多くの観光客が日本滞在を楽しんでいる姿を見ると、その真意を理解できるようになってきた。