
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、そして楽天といった携帯電話キャリア4社の決算が出そろった。
KDDIとソフトバンクが勝ち逃げしようとする中、NTTドコモが従来通りの泥沼の戦いから脱却できない様子が鮮明に見えてきた。
架空取引に揺れるも、モバイル収入爆上げのKDDI

子会社ビッグローブで起きた架空取引で揺れるKDDIであるが、決算自体(3月末に予定している修正前の値)は好調だった。
KDDIは2025年、値上げプランを開始したが「既存の顧客が契約する料金プランでも一斉に値上げする」という、これまでの通信業界では考えられなかった離れ業を演じている。
一斉値上げで顧客離れが進むかと懸念されたが、実際ユーザー離れはあまり起こらなかった。その一方でモバイル収入は「爆上げ」となった。
KDDIでは現在、構造改革を進めている。いたずらに新規契約者数を追うことなく、既存のユーザーに対して、いかに新たな価値を提供して、一人あたりの収入を上げていくかに腐心している。

サブブランドであるUQ mobileのユーザーをauにブランド移行してもらい、衛星との直接通信や、優先的に安定したネットワークにつなぐ機能、金融サービスや「Pontaパス」などを提供することで、解約することなく、長期的に使ってもらえるユーザーになってもらうという戦略だ。
実際、2025年9月末で3293万台だったスマートフォン稼働数は、12月末で3300万台。3カ月間で、7万件しか増えていない。楽天モバイルが68万件増えたのは対照的だ。
純増数が控えめなことに対して、KDDIの松田浩路社長は「ここ(スマートフォン稼働数)だけを見て数字を上げようとしているわけではない」と語る。
「ここは構造改革と共にバランスをとっていかないといけない。スマートフォン稼働数は2025年度末で3340万台を目標値にしているが、第4四半期はもう少し増えているとみている。ただ、ここを過剰に獲りに行くよりも、ライフタイムバリューに寄与する方向に振り分けている」(KDDI 松田社長)
「純減」が狙い通りのソフトバンク

KDDIよりも、もっと驚きなのがソフトバンクだ。
この3カ月の間にスマートフォン純増数が「10万件の純減」を記録している。
これまでソフトバンクと言えば、勢いのある営業でユーザーを増やしてきたキャリアと言える。そのソフトバンクが純増ではなく純減とは衝撃でしかない。
宮川潤一社長が「我が社始まって以来のこと」というのも納得だ。
ただ、2025年から宮川社長は純増数にこだわらない姿勢を見せており「来期はプラスマイナスゼロでも良いのではないか、という感覚で、とにかく1回、社内を大改造して膿を出し切ってしまいたい」とも語っている。

ソフトバンクはこれまでサブブランドであるワイモバイルでユーザーを獲得するものの、ARPU(一人あたりの通信料収入)が低くなるため、さらに契約者を獲得して、成長を拡大させていくという手法がとられていた。
しかし、短期で解約するユーザーも多く、コストがかさむ状況にあった。
そこで2025年からは長期利用ユーザーに注力する一方で「大量申し込みや短期解約(ホッピング)の可能性があるユーザーに対して工夫したため、獲得数が減少した。しかし、これにより、半年後ぐらいには解約率の改善として効いてくるのではないか。言葉を選ばずにいうと、低ARPUユーザーが外に出て行く傾向にある。今後、ソフトバンクの一人あたりの通信料収入が上がっていく」(宮川社長)という。
つまり、KDDIもソフトバンクも、キャリアを頻繁に乗り換えて、ポイントを獲得するようなホッピングユーザーや、低ARPUユーザーの獲得には見切りをつけて「数より質で稼ぐ」という横綱相撲を始めたわけだ。












